誰もが一度はあこがれたことのある音楽業界。その音楽を《ビジネスの一分野》としてとらえ、それらのプロフェッショナルを育成する、そんな特色ある学科が、相愛大学の音楽学部・音楽マネジメント学科です。
今回のESCは、2012年春に完成した《本町キャンパス》への各教室AVシステムと実習室、そして録音スタジオの導入に携わることができました。
注目はやはり録音スタジオです。各機材の設置された調整室と、ガラス越しのブース側から構成されており、プロの現場と同様の環境で学ぶことが可能です。その大要素として《Pro Tools》というシステムが存在します。
Pro Toolsとはアメリカのアビッド・テクノロジー社が提供している、PC(今回はMac)を核としたDAW(デジタル・オーディオ・ワークステーション)用のソフトとハードを含むシステム全体の呼称です。
世界的にレコーディング業界ではこのPro Toolsがデファクトスタンダードとされており、一説には世界シェアの七割を占めるとも言われています。
導入計画時の打合せでは「プロの現場と同様の機材で学べる環境を構築して欲しい」とのご要望を頂いており、Pro Toolsの中でも最新&上位モデルとなる《Pro Tools HD10》で構築されています。
スタジオによって多少の違いはありますが、基本は同じです。実際の音楽制作現場で使用されているツールと同等のシステムで基礎を習得することで、世界中どこへ行っても通用する、即戦力となれるスキルを身に付けることが可能となります。
録音スタジオの他にも、ESCでは大小様々な11部屋にAV設備を導入しました。各部屋共通の注目ポイントとして、スピーカの選定にはESC担当者のこだわりがあります。周波数特性に優れたスピーカを選定しており、音楽学部が利用する教室に相応しい良い音を響かせてくれます。
また、映像設備においてもHDCPに対応したデジタル映像システムで構築されており、今後新しい教材、新しいPCでの運用にも対応できる構築が成されています。
操作システムとして特徴的な例では、キーボード実習室のスイッチBOXと、階段教室のタッチパネルがあります。音声のみの実習室と、プロジェクタ2台と液晶モニタ、計3画面異なる映像を表示できるアリーナ状の教室。対照的な仕様ですが、どちらも《複雑な動作》を《いかに簡単に操作するか》を念頭に作られております。
音楽産業の未来を創るプロの育成に携わることができた今回のお仕事は、音響設備のプロとしても大変嬉しい現場でした。近い将来、この録音スタジオから世界に羽ばたくサウンドクリエータや音楽プロデューサが誕生する、そんな日が待ち遠しい限りです。