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中国・深圳「ISLE 2026」で感じたLED市場の変化と可能性

  • レポート/コラム

※本記事は、LLDA(大型LEDディスプレイ協会)主催の招待ツアーに参加し視察した内容に基づいています。なお、特定メーカーからの依頼・監修等は受けておりません。

2026年3月5日から7日にかけて、中国・深圳で「ISLE 2026(International Smart Display and Integrated System Exhibition)」が開催されました。会場となった深圳国際会展中心(Shenzhen World)には、世界100カ国以上から業界関係者が来場し、約1,000社が出展。展示面積は約8万平方メートルに及び、アジア最大級の展示会にふさわしい規模で開催されました。今年はMini/Micro LEDを中心に、AI活用型システム、XR、デジタルサイネージ、AVインテグレーションなど、映像・空間演出に関わる幅広い技術が披露され、会期中には約20の専門フォーラムが開催。AI活用やスマートシティ、低炭素型ソリューションなどが関心の高いテーマとして取り上げられていました。こうした市場動向や技術トレンドを把握するため、LLDA主催の招待ツアーの一環として現地視察に参加しました。

ISLE 2026で感じた展示トレンド

会場風景①

今回の展示会で特に印象的だったのは、COBやMIPを中心とした高精細LED技術の進化です。COB(Chip on Board)は、LEDチップを基板へ直接実装することで、高精細化や高コントラスト、省エネ性能を実現しやすい技術として注目されています。また、MIP(Micro LED in Package)は、Micro LEDをパッケージ化することで実装性や量産性を高め、さらにCOBでは対応が難しかった現地での修理性を向上させ、メンテナンス性の向上を図る技術として、近年各メーカーが力を入れている分野です。各メーカーはMicro LED関連技術を軸に、高精細化だけでなく、高コントラストや省電力といった多面的な強みを打ち出していました。なかでもMIP関連展示は増加傾向にあり、今後の普及を見据えた各社の力の入れ具合がうかがえました。また、AIによる映像生成や補正、インタラクティブ制御など、LEDディスプレイとAIを組み合わせたソリューションが増えており、各社が次世代技術として位置付けている様子が印象に残りました。また、今後の展開を見据えた“AI-ready”段階の展示も多く見られ、技術進化の過程にある分野であることがうかがえました。さらに、単なるディスプレイ製品の展示だけではなく、音響や制御、XR、空間演出まで含めた“体験型提案”が増えており、「映像を表示する」から「空間全体を演出する」方向へ、市場そのものが変化しつつあることを感じました。

AI-readyとは・・・単にAIツールを導入するだけでなく、組織全体がAIを効果的かつ持続的に活用できる土台が整っている状態

出展メーカーの展示概要

※以下、メーカー名はアルファベット順でご紹介します

AOTO Electronics Co., Ltd.(アオト)

AOTOブース
イノベーション金賞を受賞した「Meta Box Studio」

AOTOは、日本市場でも導入事例が増えているメーカーであり、2016年より日本法人での本格展開も開始されるなど、国内市場への動きも活発化しています。今回の展示会では、AIを活用した統合ビジュアルソリューションを幅広く展開しており、バーチャルプロダクションやライブ配信、リテール空間、商業用ディスプレイなど多様な用途を提案していました。中でも、超コンパクトなバーチャルプロダクションシステム「Meta Box Studio」は、AIアセットライブラリやレンダリングサーバーを組み合わせることで、手軽かつ短時間でバーチャル配信環境を構築できる点が特徴として紹介されていました。こうした展示内容は高く評価され、AOTOは会場内で複数の賞を受賞しており、「Meta Box Studio」はISLE2026のイノベーション金賞を受賞したプロジェクトとして高い関心を集めていました。また、COB製品を自社生産するメーカーの一社でもあり、製品提案と製造の両面で強みを感じさせる展示となっていました。

BOE Technology Group Co., Ltd.(ビーオーイー)

BOEブース

BOEは、LCDメーカーとして広く知られる一方で、近年はLEDビジョン分野にも積極的に参入しています。今回の展示では、超微細ピッチのMIPディスプレイを中心に、次世代技術として注目されるCOG関連技術への取り組みを前面に打ち出していました。液晶分野で培った技術や生産体制を背景に、Micro LED市場でも高精細化を見据えた技術展開を進めている点が印象的で、日本市場での今後の展開にも注目が集まりそうです。

 

Ledman Optoelectronic Co., Ltd.(レッドマン)

LEDMANブース

今回のISLE 2026で特に存在感を見せていたメーカーの一つが、LEDMANです。2025年より日本法人での本格展開も始まっており、近年注目を集めている中国LEDビジョンメーカーの一社です。会場では、住宅向けとして世界初を掲げるMicro LEDガラス基板ホームビデオウォール「LV135 Ultra Collector’s Edition」をはじめ、高効率・低発熱を特徴とする「QS0.9 Ice Screen」、会議向けソリューション「LEDMAN Smart Conference All-in-One」などが展示されていました。映像品質だけでなく、空間演出性や省エネ性、運用面まで含めた幅広い提案が際立っていました。LEDMANの展示全体を通し、COBやMIP、ガラス基板Micro LEDといった先端技術を、“製品単体”ではなく“用途別ソリューション”として提案していた点が際立っていました。「どのような現場で、どう活用するか」を重視した提案となっていました。さらに、昨年はあまり見られなかったLEDHUB関連展示も増えており、製品単体ではなく、システム全体での提案力強化も感じられる内容でした。

LianTronics Co., Ltd. (リアントロニクス)

LianTronicsブース
「BIM Plus-T/TX」

LianTronicsは、深圳を拠点とするLEDディスプレイ/映像ソリューションメーカーです。屋内外LEDビルボードやファインピッチLED、大型ビデオウォールを中心に展開しており、放送、交通、教育、公共空間など幅広い分野で導入実績を持っています。今回のISLE 2026では、大型ビジョンを活用した迫力ある展示が印象的で、メインスクリーンには非常に高精細な映像が映し出されていました。特に、巨大両面キャビネットタイプ「BIM Plus-T/TX」の展示は来場者の注目を集めており、レンタル市場を意識した提案が感じられました。また、MIP製品については「Vmicro」ブランドを中心に展示を展開。COB製品に強みを持つメーカーである一方、MIP領域にも積極的に取り組んでいる様子がうかがえました。展示全体を通して、単なる高精細競争だけでなく、“実際の導入現場でどう活用されるか”を意識した提案が多く、案件対応力の高さを感じさせるブース構成となっていました。

Unilumin Group Co., Ltd. (ユニルミン)

Uniluminブース

Uniluminは、中国・深圳を拠点とする最大手LEDディスプレイメーカーで、屋内外LED表示やサイネージ、イベント・演出用途まで幅広いソリューションを展開しています。今回のISLE 2026でも、総合力の高いLEDビジョンメーカーとして大きな存在感を見せていました。会場では、MIP 0.9モデルや透明LED、3Dビジョンなど、多彩なラインアップも展開されていました。さらに、高精細かつ大型のLEDディスプレイを複数展示しており、没入感の高い映像表現が印象的でした。テーマの一つでもあるAI関連では、AIを活用した映像の読み上げやコンテンツ制作などにも取り組んでおり、単なる表示機器ではなく、コンテンツ運用まで含めた提案を進めている様子が感じられました。また、Uniluminの強みとして感じられたのは、単なる製品性能だけではなく、“量産力”や“運用安定性”まで含めた総合技術力です。Micro LEDや裸眼3D、XRバーチャルプロダクション、シネマディスプレイなど先端分野への対応幅も広く、大規模案件やイベント用途への強さもうかがえました。COB製品を自社製造している点も含め、製造から提案、運用まで一貫して対応できる総合メーカーとしての強みを感じさせる展示内容でした。

まとめ

ISLE日本視察団メンバー集合写真
会場風景②

昨年に引き続き、LLDA主催の招待ツアーに参加し、中国・深圳にて展示会を視察しました。本ツアーでは、主要LEDビジョンメーカー17社のブースを効率的に視察できるようスケジュールが組まれており、多くの展示で日本語による説明を受ける機会にも恵まれました。会場では、COB製品やMIP製品を中心に、より高精細化されたモデルが多数展示されており、あわせて省電力化技術の進展もうかがえます。また、製品単体の性能に加え、運用面まで含めた提案が強化されている点も特徴的です。透過型LEDについては、メッシュタイプ・フィルムタイプともに展示が増加しており、用途の広がりを感じました。キネティックLEDにおいても、静音性や連動性の向上が進んでおり、今後の活用が期待される分野の一つとも言えるでしょう。さらに、透過型LEDと比較されることの多いCOG製品についても、今後の技術進化が楽しみな領域です。なお、本ツアーでは展示会視察に加え、LEDビジョンメーカー「Unilumin」「LEDMAN」の工場視察も実施しました。工場視察の内容については、次回レポートにてご紹介予定です。

LEDビジョンの基礎解説記事はこちら

第1回「LEDビジョンとは?―液晶ディスプレイとの違い

https://www.eizo-system.co.jp/esc_media/led-vision-series01/

第2回「ピクセルピッチとは?視認距離・解像度との関係を解説」

https://www.eizo-system.co.jp/esc_media/led-vision-series02/

 

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