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パブリックビューイングと著作権法、許諾や申請は必要?【2026年版】

  • レポート/コラム

※2019年公開の記事をもとに、2026年現在の情報へ更新しました。

テレビで放送されている一般的なスポーツ中継の映像では、カメラアングルを切り替えたり、映像にエフェクトや合成を加えたりするなど、さまざまな表現が行われています。こうしたスポーツ中継の映像は、その制作・収録の態様によっては、「映画の著作物」として著作権法による保護の対象となる場合があります。

著作権法第2条第3項(定義)
「映画の著作物」には、映画の効果に類似する視覚的又は視聴覚的効果を生じさせる方法で表現され、かつ、物に固定されている著作物を含むものとする。

パブリックビューイングでスポーツ中継の映像を利用する場合には、映像に関わる著作権に加え、放送事業者に認められた「著作隣接権」についても考える必要があります。著作隣接権とは、著作物の創作者ではないものの、その伝達に重要な役割を果たしている実演家、レコード製作者、放送事業者、有線放送事業者などに認められた権利です。放送事業者には、テレビジョン放送の伝達権などが認められています。

非営利・無料なら自由に見せられる?

著作権法第38条第3項では、放送などが行われる著作物を受信装置を使って公に伝達する場合について規定されています。現在は放送・有線放送に加え、「特定入力型自動公衆送信」や一定の「放送同時配信等」も対象に含まれています。
同項では、次の場合に受信装置を使って公に伝達できる旨が規定されています。

  • 営利を目的とせず、かつ、聴衆または観衆から料金を受けない場合
  • 通常の家庭用受信装置を用いる場合

ただし、入場無料であっても、商品の宣伝・販売促進や店舗への集客などを目的とする場合には、営利目的と判断される可能性もあります。そのため、「無料イベントだから自由に上映できる」とは限りません。一方、通常の家庭用受信装置を使用する場合については、営利目的の有無にかかわらず、著作権者の許諾が不要となる場合があります。

図解|開催前に確認する3つのポイント

大型スクリーンを使う場合は放送事業者の権利にも注意

さらに、著作権とは別に確認しなければならないのが、放送事業者の著作隣接権です。

著作権法第100条(テレビジョン放送の伝達権)
放送事業者は、そのテレビジョン放送又はこれを受信して行なう有線放送を受信して、影像を拡大する特別の装置を用いてその放送を公に伝達する権利を専有する。

放送事業者には、テレビジョン放送を「影像を拡大する特別の装置」を使用して公に伝達する権利が認められています。著作権情報センター(CRIC)でも、超大型テレビやビル壁面のディスプレイ装置などを用いて公に伝達する権利として説明されています。そのため、大型スクリーンなどを用いてテレビ放送を公に伝達するパブリックビューイングでは、著作権者の許諾とは別に、放送事業者の許諾が必要となります。非営利・入場無料のイベントでも同様のため、注意しておきたいところです。

「家庭用受信装置」と「影像を拡大する特別の装置」

ここで確認したいのは、著作権法第38条第3項が例外として認める「通常の家庭用受信装置」に当たるか、放送事業者が伝達権を持つ「影像を拡大する特別の装置」に当たるかという点です。法律上、画面サイズなどによる明確な線引きは示されていませんが、一般的には次のように整理できます。

ただし、家庭向けテレビも大型化しているため、「○インチ以上なら特別の装置」と画面サイズだけで判断することは困難です。機器の種類、設置方法、映像を拡大して見せる仕組みかどうかを整理し、判断が難しい場合は放送事業者へ確認しましょう。

大会ごとの申請・ライセンスにも注意

パブリックビューイングでは、著作権法上の権利だけでなく、大会主催者などが独自に定めるガイドラインやライセンスにも注意しなければなりません。2019年の記事では「2018 FIFAワールドカップ ロシア」と東京2020オリンピック・パラリンピックの申請制度を紹介しましたが、申請方法やライセンス料などは大会ごとに異なります。過去大会の条件ではなく、実際に上映する大会の最新情報を確認しておくことが大切です。

FIFAワールドカップ2026の場合

FIFAワールドカップ2026では、FIFAがパブリックビューイング用の公式プラットフォームを開設し、ライセンスを申請する仕組みを設けていました。大会は2026年6月11日から7月19日まで、カナダ、メキシコ、アメリカで開催されました。大会ごとに申請の要否や開催条件は異なります。パブリックビューイングを企画する際には、大会主催者や放送事業者が公開する最新情報を確認しておくことが重要です。

インターネット配信を利用する場合

現在はテレビ放送に加え、インターネット配信サービスでスポーツを視聴する機会も増えています。配信サービスを使ってイベント会場などで映像を流す場合には、著作権法上の扱いだけでなく、サービスの利用規約や契約条件も確認する必要があります。個人向けの契約が、そのまま店舗やイベント会場での利用を認めているとは限りません。商用利用や多数の観衆への上映が認められているかを事前に確認しておくことをおすすめします。

まとめ

パブリックビューイングを開催する場合は、主に次の点を確認しましょう。

  • 通常の家庭用受信装置を使用する場合については、著作権法第38条第3項に規定があります。
  • 入場無料でも、集客や販売促進などを目的とする場合は、「営利を目的としない場合」に該当しない
    可能性があります。
  • 「影像を拡大する特別の装置」を利用してテレビ放送を公に伝達する場合は、放送事業者の許諾が
    必要となります。
  • 大会独自の申請・ライセンス制度が設けられることがあるため、最新の公式情報を確認する
    必要があります。
  • インターネット配信では、サービスの利用規約や契約条件も確認しましょう。

開催する際は、「どの映像を、どの設備で、どのような目的で見せるのか」を整理し、必要な許諾や利用条件を事前に確認しておきましょう。

参考情報

※本記事は、著作権に関する一般的な情報を紹介するものであり、個別の事例について法的な判断を示すものではありません。実際に実施する場合は、大会主催者、放送事業者、利用する配信サービスなどが公開する最新情報をご確認ください。

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