映像・音響のトータルソリューション

検索

コラム:機器の寿命は、一体どのくらい?

ホーム > メディア > ESCメディア > コラム:機器の寿命は、一体どのくらい?
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
コラム:機器の寿命は、一体どのくらい?

「機器の寿命は、どのくらいですか?」 設備の仕事をしていると、質問される場面に出会います。電気製品は、様々な部品・材料から構成されており、その寿命も様々です。また、使用される環境などの条件も影響するため、機器メーカーのWebサイトやカタログを拝見しても、はっきりとしないことが殆どです。

今回は、機器が故障して修理をしようか検討されている方、設備や機器を更新する計画を考えている方々の目安となるように、機器寿命に関連した情報をまとめていきたいと思います。尚、ここでの機器の「寿命」の意味合いは、故障のリスクが高まり、新しく機器そのものを更新することが望ましい時期という定義にしたいと思います。

絶縁物の連続使用の上限

電気製品は、コンデンサ、抵抗、半導体、絶縁体、配線やはんだ、樹脂、金属などの複数の部品・材料から構成されています。製品が機能する上で必要な部品のうち、1つでも劣化して性能が発揮できなかったり、壊れてしまったりすると、いわゆる製品として故障した状態になります。

では、部品・材料の一つである“絶縁物”について着目してみましょう。電気用品安全法(電気用品の技術上の基準を定める省令の解釈)において、通常使用状態における絶縁物の連続使用の上限は、原則40,000時間としています。計算すると1日8時間✕365日の稼動で約13.7年、1日24時間✕365日の稼動で約4.6年となりますが、実際には、製造される部品ごとのばらつきがある為、機器として不具合や故障が生じるのは、それよりも早い時期から(例として、照明器具の場合は、30,000時間を目安に点検や交換を推奨)という認識も必要なようです。

有寿命部品

PCを対象にした情報となりますが、使用経過と共に劣化が進行し、寿命が著しく短くなる可能性のある部品について、その部品の名称と寿命の目安が取扱説明書やカタログなどに記載されています。有寿命部品は、バッテリーなどの消耗品とは区別し、例えばPCの液晶ディスプレイ、ハードディスク、光学系ドライブ、冷却用ファン、ACアダプタなどが該当します。

有寿命部品の寿命目安は、各PCメーカーで内容が少し異なりますが、現状では一日8時間の利用を想定した場合に約5年と記載しているケースが多いようです。

この有寿命部品の表記については、PCを対象にしたガイドライン(※)によるものですが、映像音響機器についてもブルーレイレコーダーのようにハードディスク、光学系ドライブといった、PCと同じような部品で構成されている製品も多く、一つの目安として同義で捉えられるものと考えます。

※一般社団法人 電子情報技術産業協会 JEITA (https://www.jeita.or.jp) “有寿命部品の表記に関するガイドライン”

製品保証

映像音響機器の保証期間は、一般的に1年間としているものがほとんどですが、長期間利用に対する品質保持を特徴とするような製品については、それ以上での保証期間を明示している場合があります。例えば、レーザー光源プロジェクター 3年/20,000時間、液晶ディスプレイ 5年/30,000時間といった内容です。メーカーや機種毎に条件は変わりますが、レーザー光源プロジェクターについては、20,000時間を保証としているケースが多いようです。寿命とは意味合いは異なりますが、この時間も一つの目安にできるのではないかと思います。

補修用性能部品の保有期間

機器が故障した際に、いつ頃まで修理を受け付けてもらえるのでしょうか? 寿命という観点からは、少しずれた内容になりますが、修理をするか新しく購入するかという点に関係する為、少し触れてみたいと思います。
家庭用のテレビなどについては、メーカーのカタログやWebサイト上で、「補修用性能部品の保有期間は、製品の製造打ち切り後、◯年です」といった表示をしています。これは、 公益社団法人 全国家庭電気製品公正取引協議会(https://www.eftc.or.jp/)が制定している 『製造業表示規約』に基づいたものです。

製造業表示規約では、表示を行うべき最低限の品目を定めており、映像音響機器では、家電のうちテレビ、テープレコーダー、ラジオ程度しか定められていませんが、各メーカーが自主的に他の製品についても表示していることがあります。
規約では補修用性能部品の保有期間の表示を、カラーテレビで8年以上と定めていますが、液晶テレビ以外の映像機器(ブルーレイプレーヤ、プロジェクタなど)も、8年としているメーカーが多いように見受けられます。

基本的には、保有期間内であれば修理が可能で、期間外では、修理が不可能という感覚でよいのですが、修理に必要となる部品の在庫次第で、期間内であっても修理ができなかったり、期間外でも修理を受け付けてくれたりするケースが実際にはあるようです。少し解りにくいですが、保有期間の表示は、あくまで目安であり実際の修理可能期間とイコールではないという理解をしておく必要があるようです。

法定耐用年数

減価償却資産における法定耐用年数という指標があります。あくまで税法上における数値(年数)である為、寿命そのものではないですし、機器そのものの品質とも無関係ですが、設備更新等の計画時においては関連性の高い情報になります。
映像音響設備に関連する法定耐用年数を具体的に見ていきたいと思いますが、設備の用途や構成によって、適用すべき耐用年数が変わる場合がありますので、ここでは機器単体について且つ一般的な用途を想定して記載します。

プロジェクター

分類用途:器具及び備品/光学機器/映写機 耐用年数:5年

オーディオレコーダー

分類用途:器具及び備品/電気機器/その他の音響機器 耐用年数:5年

テレビ会議装置

分類用途:器具及び備品/通信機器/その他の通信機器 耐用年数:10年

まとめ

項目 寿命としての目安
時間 8時間×365日の使用 24時間×365日の使用
絶縁物 電気用品安全法 40,000時間 13.7年 4.6年
PC(有寿命部品) 有寿命部品の表記に関するガイドライン - 5年 -
レーザー光源
プロジェクター
一般的な保証時間 20,000時間 6.8年 2.3年
プロジェクター 法定耐用年数 - 5年 
オーディオレコーダー 法定耐用年数 - 5年 
ビデオ会議装置 法定耐用年数 - 10年 

ここまでの内容を基に寿命としての目安を表にまとめてみました。使用環境等の詳細条件は一律でない可能性がある為、あくまで目安として参照頂ければと思います。

冒頭で、ここでの機器の「寿命」の意味合いは、故障のリスクが高まり、新しく機器そのものを更新することが望ましい時期という定義に致しました。表を見る限りで結論をつけるとすれば、5~6年が概ね機器の寿命であり、機器の更新を検討する時期だという感覚でよいのではないでしょうか。

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加