2018年5月16日~18日、東京ビッグサイトで『第9回 教育ITソリューションEXPO』が開催されました。プロジェクターやマイクを使用した授業など、教育機関にとってITと映像音響設備は、切っても切れない関係です。今年は第1回 学校施設・サービス展も同時開催され、合わせて700社が出展、IT以外にも教育機関向けの幅広い製品、サービスが展示されていました。それでは、展示会場の様子を一部ご紹介しましょう。
映像音響
(4K書画カメラ、4K対応スクリーン、天井マイク)
教材資料などを手元で撮影する書画カメラ。エルモ社(ELMO)のブースでは、4K・2Kの高精細映像に対応した新商品(PX-30/PX-10)が展示されていました。デザインもスリムに一新されていて、旧モデルに比べ設置・収納面における機能向上もしているようでした。また、オーエス(OS)では、4Kプロジェクター向けの業務用スクリーンが参考出品されていました。元々はホームシアター向けに販売されていた製品に防火対策を施して、学校施設向けに開発をしたものだそうです。教育施設においても今後徐々に、4Kや8Kといった高精細対応機器が、増えてくるのかもしれません。
音響機器を提供するシュア・ジャパン(SHURE)では、主に会議室での利用を目的としたシーリングアレイマイク(MXA910)をメインに展示していました。主に会議室でのゾーン集音に利用される天井マイクシステムですが、それを広い教室の拡声用として応用した事例なども紹介していました。天井付近から教壇付近の音声を集音、スピーカーで拡声するという仕組みです。あくまで集音マイクという前提はありますので、ハウリングがしないレベルの拡声補助をしているようですが、音響システムの性能向上に感心させられます。
IT関連
(WebEx Board、教育版マインクラフト)
シスコ(Cisco)ブースでは、WebEx Boardをブースの中央に展示していました。ビデオ会議などのコラボレーション機能を搭載した電子ボードですが、Cisco Sparkが「Cisco WebEx Teams」へ統合され旧Spark Boardという名称から変わりました。今後、WebExへの親和性がより増していくコラボレーションボードとなるようです。
Microsoftでも、コラボレーションボードとしてSurface Hubを出品していましたが、その他に少し変わった展示がありました。子どもから大人まで人気の高いゲームソフト、マインクラフト。その教育版「Minecraft Education Edition」です。バーチャルの世界で建物や装置をチームで作ったりすることで、創造性やコミュニケーション能力の育成、プログラミング学習などを行ったりするのが狙いです。教育版だけに、バーチャル世界では強制的に生徒を集合させたり、操作を禁止するなどの機能もついているようですが、ここまでくると子どもたちは勉強しているという感覚はなくなるかもしれません。尚、Education Editionは、教育機関向けの提供のみ行っており、個人への提供は現在していないとのことです。
黒板関連
(グレー黒板、AIアシスタント)
黒板メーカーも多数出展しており、各社が共通して展示していたのは、プロジェクターでの映写に対応したグレー黒板です。光の反射率を上げることで、黒板とは別にスクリーンを用意しなくても、くっきりとした映像を表示することが可能になりました。
その他、黒板メーカーであるサカワでは、ウルトラワイド超短焦点プロジェクターの「ワイード」に続きユニークな製品として、「Josyu(ジョシュ)」という一部AIを利用したネットワーク型の授業支援サービスを展示していました。音声認識での文字おこしやGoogle検索などの情報をリアルタイムに黒板スクリーン上に表示していました。機能面だけでなく演出面においても遊び心があり、近未来の授業スタイルを想像させられます。
事務支援
(備品管理システム)
大学などの教育機関では、椅子や机からプロジェクターなどのICT設備まで管理を必要とする備品の数が相当量あり、その備品一つひとつの管理に日頃悩まされている事務職員の方も多いのではないでしょうか。今回、その備品管理をITを利用してスマートにしようという専用システムの展示がありました。PCやスマートフォン上から備品情報をデータベースに登録、備品一つひとつに貼るラベルシールに印刷されるバーコードをスマートフォンに装着したリーダーで読み込むことで、棚卸しや廃棄の手続きをスムーズに行うことができます。また、理振表、備品台帳などの帳票類への印刷にも対応しているとのこと。できるだけ事務作業の省力化ができる仕組み、工夫が考えられていると感じました。
おわりに
今回、同時開催されていた第1回 学校施設・サービス展では、照明から引っ越し、感染症対策まで多様な展示があり、教育機関の関係者にとって、より見応えのある展示会になっていると感じました。学生や生徒だけでなく、そこで働く職員があってはじめて学校が成立します。職場環境の改善、働き方改革という視点においても、今後、教育機関において重要な課題であり、ITが益々活躍していくのではないでしょうか。
尚、西日本地区では、第2回 関西 教育ITソリューションEXPO (EDIX関西)がインテックス大阪で開催予定(2018年11月7日~9日)です。