映像・音響のトータルソリューション

検索

電気通信大学 UEC共創進化スマート教育システム

ホーム > メディア > 導入事例 > 教育施設 > 電気通信大学 UEC共創進化スマート教育システム
  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加
電気通信大学 UEC共創進化スマート教育システム

学生を孤立させない新ハイブリッド講義スタイル

電気通信大学は、幅広い理工系分野での教育と研究を行っている国立大学です。 UECビジョン ~beyond 2020~を掲げ、これからのSociety5.0の世界を人間知・機械知・自然知の融合により新たな価値(進化知)を創造し様々な課題を自律的に解決しながら発展し続ける「共創進化スマート社会」と位置付け、自らも共創進化スマート大学になることを目指しています。その取り組みの1つとして、この度「UEC共創進化スマート教育システム」を構築いたしました。

  • オンライン参加でも「ロボット」を通じて実際の講義室へ
  • 実態を伴うコミュニケーションを生み学生の孤立を防ぐ
  • ビジュアルコラボレーションによる共創・コミュニケーション支援
  • 大画面ビデオウォールで同一空間にいるような共有感
  • ウルトラワイドに対応した映像表示でVRキャンパスなどへの没入感を演出
  • マイクの存在を意識しない集音システムで空間を繋ぎ活発な議論を
  • サステナブルとフレキシビリティを意識した将来拡張性

オンラインと対面を繋ぐ仕組み

オンライン(Zoom)参加の学生が講義室に配備されたロボットにテレポートすることでロボットが分身代わりとなり、その場での空間に存在感を生み孤立を防ぐことが期待できます。簡単な操作方法で参加できるよう、ロボットの視点(カメラ)操作が一つのアプリケーションで行えるZoom連携ソフトウェアの開発も行いました。

テレプレゼンスロボットを利用しながらオンライン参加

【西9号館102教室】テレプレゼンスロボット:Temi V3、 Kubi、 Telepii

テレプレゼンスロボット Temi V3

自動追従走行するテレプレゼンスロボット  Temi V3

自動追従走行するテレプレゼンスロボット

頭をポンと撫でると健気に追いかけてくる姿が可愛らしい


デジタルキャンバスでブレストやプレゼンを支援

対面参加の方だけでなくオンライン参加者も加わって複数人が同時にフリーハンドスケッチ感覚でコラボレーション可能なThinkHub(Triple-4K+xCanvas構成)を世界初導入。グループワークなどコミュニケーション活用の実用に向けた実習に取り組んでいます。

ビジュアルコラボレーションソフトウェア

【西9号館102教室】55インチタッチパネルディスプレイ(xCanvas)×1/
86インチタッチパネルディスプレイ(Triple-4K)×2
ビジュアルコラボレーションソフトウェアを利用して複数人で同時編集



大画面ビデオウォールで空間共有感をUP

講義室内のメイン画面は、目地が目立たない製品選定にこだわり、ベゼルレス設計のBarco UniSeeを採用。実際の空間に対して大型映像を意図的に配置することで、没入感ある空間映像を実現しています。

ベゼルレスの大画面

【西9号館102教室】ベゼルレスLCDビデオウォール(55型 3×3:165インチ)
その他 電動旋回カメラ、ワイヤレス映像投影機、AVコントロールサーバ(CiSS:Control intensive Stacking System)



自然な会話で発言機会を逃さない

シーリングマイクを採用し、オンライン用の収音や部屋の広さに応じてボイスリフト(自室内の補助拡声)を行います。物理的な「マイク」を意識させず、普段の会話のように自然な環境を用意することで活発な議論を支援し、また対面・オンライン環境それぞれに適した高品質な音声を届けることが可能です。尚、東3 図書館(2F Agora)においては仮想マイク技術を搭載したサウンドシステムを採用しています。

マイクを意識させないシーリングマイク

【西9号館102教室】シーリングマイク



ウルトラワイド表示による没入感

3画面別映像を表示

3画面の個別映像を表示

プロジェクタ3台による140インチ×横3面のウルトラワイド表示。画面表示パターンを複数用意し、用途に合わせた表示を簡単に選択することが可能です。特にキャンパス映像などのVRコンテンツはHMD(VR用メガネやゴーグル)無しでも没入感を高め、実空間での効果的なVR利用にも期待できます。

1つのコンテンツをワイド表示

【東33号館221教室】レーザープロジェクタ 7000lm×3(140インチ×横3面 壁面映写)、
メインスピーカ、シーリングアレイマイク、電動旋回カメラ、AVコントロールサーバ(CiSS)



図書館でのイベント利用

アクティブラーニングスペースとAI研究等のための実験スペースが融合した学修空間 "Agora"には、プロジェクタ2台によるウルトラワイド表示を可能とするシステムを導入しました。また、調音パネル(発声周波数帯のみ効果的に反射)を配備して音環境を整えることで、オープンスペースでのオンラインイベントに対応可能な空間となっています。

図書館でのイベント利用

【東3 図書館 2F Agora】電動昇降スクリーン 110インチ×横2面分オリジナルサイズ、レーザープロジェクタ 10000lm×2、
Nurevaサウンドバー、AVコントロールサーバ(Ciss)



Special Interview

本プロジェクトに取り組まれていた電気通信大学の柏原昭博氏、島崎俊介氏、上野友稔氏、また学生の佐々木奏氏、渡邉優氏にも参加いただき、お話を伺いました。

ー実運用開始後、利用者からの声や感想はございましたか。

実際には後期から実動予定のため、後期以降にフィードバックがあるかと思います。利用は講義だけでなくてもいいと思っていまして研究室ミーティングや学内会議など、そういった機会にも使ってもらおうと思っています。

ーコロナ禍によって“オンライン対応”というきっかけがありハイブリッド講義自体は浸透しつつありますが、今回のシステムでは更に学生の孤立を防ぐための配慮がなされています。学生からの声も届いてきていたのでしょうか。

柏原昭博氏

柏原昭博氏

そうですね、2020年には大学として調査もしています。ドロップアウト率が例年よりも高く、個別の声でも「相談しにくい」というのが多かったですね。質問時間を用意するなど基本的な部分は行っているのですが、学生からすれば、先生と画面上で対するというのも心理的抵抗感が高くなりますし、特に新入生は対面では会ったこともない人が(オンライン上で)横にいるという状況で質問ができるのか、という話ですよね。学生の生の声をいただいていて問題意識は非常に高かったです。


ー実際に構築されたシステムのご感想はいかがですか。

LCDビデオウォール(Barco UniSee)は、非常に驚いていて、目地が1mm以下(のベゼルレス設計)というのが素晴らしいと感じますし、やはりこれぐらいの大画面(165インチ)で見ると空間共有感を本当に高められるのだなという印象があります。タッチディスプレイ(T1V ThinkHub / Triple-4K+xCanvas)は、まだ使い慣れてない部分もあり、活用方法を見出していかなくてはと思っています。



ーシステムの操作全般を行うタッチパネル(iPad)のGUIなども自社オリジナルで制作させていただいておりますが、実際使ってみていかがでしょうか。

タッチパネルコントローラ

タッチパネルコントローラ

いやもう、これは完璧に近いのではないでしょうか、驚きました。ユーザーエクスペリエンスの面で本当に満足度が高いです。タブレット1枚で使いやすく初期設定もはまっている感じがします。いかにシステム全体を統合して動かすか、という点が難しいかと思いますが、その一番の肝を簡単に実現できるという点は本当に素晴らしい。今後、我々が使い慣れてきたときに様々な他の可能性を残していただいていますので、基本的な使い方を理解した上で別なバリエーションを構築できるというのもありがたいですね。



ー今後このシステムで「こういうことをしてみたい」という構想などありましたら教えていただけますか。

いろんな可能性はあると思うのですけれども、例えば、タッチディスプレイ(T1V ThinkHub)の場合だと、いろんな人が空間を共有できるというメリットはあると思います。実際使う場合には、ある程度コンセンサスを得ながら、こうやっていくという手順を検討する必要があるかも知れません。場があって、そこで何かやり取りしていると良いアイデアが浮かんでくるというのはよくある話なのですが、それをデジタルでやろうと思うと途端にいろいろな操作が入ってきて、そういったものが生まれにくいというのが現状。その点をどういうふうに埋められるか。“使えるパワーはあるけれど、どうやって使っていくのか”というところは未だ我々も答えを持っているわけではないので、こういった設備を導入したときに「何ができるのか」というのは、チャレンジしていきたいと感じています。


ー世の中には特殊な“尖った”ソリューションがまだまだありますので、ぜひ今後もチャレンジしていただきたいなと思っております。

“尖った人が多い”というのは当大学の利点でもあります。また、生き残りをかけるという意識がやはり強いです。普通のことをやっていると負けてしまうというか、目立たないですよね。また、実践のほうが重要なので「これを使って何ができたか」というようにアナウンスするというのは当然重要だと思っています。ぜひ、今後もフィードバックさせてください。

ー今回のような少し実験的な講義室を構築する場面などで、学内への取り組みで意識されていることはありますか。

当大学は、教員の技術的スキルが高く基本的には自己解決してくださり、新しいシステムであってもご自身の得意な部分を中心に運用デザインをしていかれます。また熱心な方が非常に多く「このままでは学生が困るだろうからコンテンツをもうちょっと高度化しよう」とか、あるいは「テストはどうしよう」などということを真剣に考えてくださって、自分なりに工夫して実施してくださる先生が多い環境です。それでもやはり、オンラインや新しい仕組みに不慣れな先生も多少いらっしゃるので、モデルケースを用意することを意識しています。

インタビューの様子

例えば、コロナ対応としてオンライン教育を始めたときには「メールを使う、Googleドライブを使う、講義収録を動画配信する、あとはZoomを使いリアルタイムで配信する」といったいくつかのモデルケースを提示して、“基本的にはこのような形でできますよ、もちろんこれらに限定はしません”と案内をしました。また、一元管理するという考え方はあまり持たず、先生方の考え方で自由度をもって対応いただけるようにしています。そのため、LMS(ラーニングマネジメントシステム)は共通のものを利用する大学が多いと思いますが、我々は1つに限定せずに先生方の得意なLMSを使っていただいています。学生側からすると、様々なツールを使わないといけないので不便に思うかもしれないですが、我々は逆にこれぐらい使えることを求めています。複数を同時に動かすことで、非常にロバスト(堅牢)な環境となります。実際、中核のシステムがダウンしてしまうことなく、継続してこれまで安定稼働できました。


ーコロナ禍は大きな転換のきっかけとなりましたが、大学の今後のあり方や、こういった技術があれば良いなど、何か思い浮かぶものがもしあれば教えていただけますか。

やはり「大学はリアルな空間が制約になっている」というのが今までの大学だと思うのですね。そこに行かなければならないという場面があるのはいいのですけれど、そればっかりという時代ではないと思います。そのため「ハイブリッド」というのはやはり大きなキーワードになるのではないかと思います。且つ、大学も建物を建てたらずっとそれを使うのではなくて、フレキシビリティを持ち“サステナブルのあり方”を考える必要があると思います。建物の中をあるときには大きな会場にでき、あるときには2階がなくなり3階だけになるように。固定的に捉えないということです。一方で、共有する「場」というのはなければならないので、その点をオンラインやVRなどで補っていくというのが未来のあり方かなというふうに思います。リアルとオンラインを繋ぐ空間利用の形が、その一つの先駆けだと思うのです。

物理的な制約、時間的な制約をいかに排除していくか。そうした流れの中で、ある意味大学はこれから更に開かれていくのではないでしょうか。そして、同時に「アイデンティティとは何か」ということも問われています。自分たちの大学とは何なのか、そういうことをしっかり考えていかなければいけない時代に入っていると思います。


ーありがとうございます。 最後に今回のプロジェクトを通しての映像システムに対する率直なイメージや感想をお伺いできますか。

第一印象は「技術力」ですね。技術力があるという気づきのきっかけは、やはり提案の内容です。我々の要望にあまり具体性がない中でも色々示してくださり、具体的なイメージが得られやすく話が進みました。それから「説明がわかりやすい」ですね。技術の人って割と自分の言葉で喋る人が多いのですけれど、非常にコミュニケーションがとりやすい。そして、「プロジェクト管理のスケジュール進行」がしっかりしている。関係者含めスケジュールをしっかり管理してくださったことが大成功に繋がったのではないかと思います。

集合写真

前列右から:電気通信大学 上野友稔氏、柏原昭博氏、島崎俊介氏
後列右から:電気通信大学学生 渡邉優氏、佐々木奏氏 /映像システム 経塚彩乃(営業)、外川雅之(PM)


関連するソリューション

  • LINEで送る
  • このエントリーをはてなブックマークに追加