歴史と革新が創生する 新たなホール設備
田中記念館の歴史は古く、開館は1975年7月と、40年以上も昔のことである。実はESC大阪営業所が開所された時期も全く同じなのだ。田中記念館とES、何か運命的なものを感じてしまう。
そんな運命に導かれたのか、2015年夏、ESCは田中記念館の改装工事に携わることができた。
導入設備を紹介する前にどうしても触れておきたいのがこの素晴らしい建物についてだ。八角形の建物が3棟連なる斬新なデザインで、中には写真でも紹介しているホールや、吹き抜けが美しいホワイエだけでなく、会議室やレストラン等も存在している。建物全体の雰囲気はどこかノスタルジーを感じさせる佇まいで、まるで物語の舞台として登場しそうな趣を感じる。
また、屋外に植えられた立派なメタセコイアは歴史的にも素晴らしく、訪れる機会があれば是非観賞をお勧めしたい。
本物のプロセニアムスピーカ
今回導入に際して力を注いだのは、写真からも存在感が滲み出る3つのプロセニアムスピーカである。導入されているのは世界的なトップツアーや歴史的ライブイベントで有名なEAW社製のJFLシリーズ。その美しい音色とリッチなサウンドの魅力はずば抜けている。もちろんスピーチにおいてもその明瞭性は高く、独特の扇形状をしたホール内のどこにいても均一な音圧を得ることができるよう設計されている。
舞台演出における可能性
上の写真は最大サイズでの投映時に、照明を消した状態で撮影したものである。表示映像が舞台床に鏡の ように映り込んでいるのが分かるだろうか? 画面に溶け込むように人間が立ち、大画面の背景と鏡面となった床に映る映像に取り囲まれるさまは、さながらヴァーチャルリアリティの空間である。
演劇の舞台にも利用されるという田中記念館。資料の提示や映像の鑑賞だけでなく、こうした映像を背景 とした舞台演出にも利用できるのではないだろうか。そんな演出利用の可能性も秘めた映像設備となっている。
ユーザビリティこそ大切
せっかくの素敵な設備も、使い方が難しく利用者が敬遠するようでは意味が無い。田中記念館では複雑な音響調整やマトリクス制御はデジタルミキサで処理を行い、ユーザが触るコンソールは極力シンプルなものを導入している。大学の中にある小ホールという立ち位置を考え、こうしたユーザビリティを重視したインタフェースでの導入となっているのである。
他にも、ステージ袖と設備機械室の2つのコンソールは連動しており、どちらからでもボリューム調節が出来る。小規模人員での運用や ちょっとしたイベントでの利用を見越した重要な機能と言えるだろう。
複雑なものを簡単に、時代に即した変化を取り入れ、誰でも最高のクオリティが利用できるシステムを実現する。ESCが昔から掲げる志向の一つである。大阪営業所にとっては同級生とも言える田中記念館に対して、開所40年にして一つの集大成を成したのではないだろうか。
次の改修が計画されるかもしれないその時、またその時代に即したシステム導入に携わりたいものである。
設備概要
【主用途】
国際会議/コンサート/交流会
【主設備】
ホール | プロジェクタ(8500 lm) |
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プロセニアムスピーカ | |
コンソールシステム (ステージ袖/設備機械室連動) |
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各種マイク設備 | |
TV会議装置 | |
ホワイエ | 65型液晶ディスプレイスタンド |
ポータブルスピーカセット | |
TV会議装置 |
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