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レポート:オフィスじゃなくても働ける時代のオフィスビルのあり方

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レポート:オフィスじゃなくても働ける時代のオフィスビルのあり方

あらゆる建築物を対象とした建築総合展『第4回 住宅・ビル・施設Week』が、2019年12月11日(水)~13日(金)に東京ビッグサイトの青海展示棟で開催されました。今回は、その中のセミナープログラムの1つ、コクヨ株式会社 ワークスタイル研究所 所長 若原強氏の特別講演をレポートしたいと思います。講演のタイトルは『オフィスじゃなくても働ける時代のオフィスビルのあり方とは?』です。

①オフィスでなくても働ける時代のオフィスづくり、②新たなオフィスづくりを受けとめるビルのあり方、おおきく2つのテーマに分けて講演は進みました。

オフィスでなくても働ける時代のオフィスづくり

テクノロジー(デバイスやネットワーク)の進化、シェアオフィスやコワーキングスペースの登場によりオフィスでなくても働ける時代が到来しています。シェアオフィスやコワーキングスペースは以前、スタートアップ企業が利用するものというイメージがありましたが、最近では大企業が法人契約するケース(法人向け分散型)が台頭してきています。個人利用向けのワークブースも都市中に散置されるようになってきました。プロジェクトごとで外にスペースを借りたり、在宅勤務したりする人がいることなども考えると、もはや社員数分の自社床は必要ないのではないか? つまり「自社床は小さく持ち、分散型のワークプレイスを構築する」というのが、これからの考え方のベースになるようです。

これからのオフィスビル

若原氏は、金融で使われるポートフォリオという言葉になぞらえた『床ポートフォリオ』という概念についても紹介をしていました。これからは自社床と分散した外部床をバランス良く組み合わせて持つことでコストや働きやすさを最適化していく、そういった概念です。

※参考:KOKUYOワークスタイル研究所 Project 07:床ポートフォリオレポート
 https://workstyle-research.com/project/project07/project_detail.html

「自社床は小さく持ち、分散型のワークプレイスを構築する」という考えにおいて、メリットは大きく2つあると言います。1つは、コスト。もう1つは時間・利便性です。将来的に増える人員を加味して、その分の自社床をあらかじめ用意するよりも、段階的に必要な分の外部床を増やしていった方がコストを抑えられます。時間・利便性については、例えば営業の外回りを考えたときに、サテライト的なワーキングスペースが各所に分散していれば、都度、本社に戻る必要はなく移動時間や交通費を削減することができます。移動時間を削減することで実務に割く時間を増やしたり、残業を減らしワークライフバランスを向上させるといった効果を得ることができます。(コクヨでは霞ケ関、千駄ヶ谷、渋谷、品川にコワーキングスペースを設けており、営業は76%が使用しているとのこと)

新たなオフィスづくりを受けとめるビルのあり方

1つ目のテーマでは「自社床は小さく持ち、分散型のワークプレイスを構築する」という考え方が見出されましたが、外部に働く場所を分散することで社員同士が直接会う機会が少なくなり繋がりがなくなってくるといったデメリットも出てきます。過去に米Yahoo!や米IBMが在宅勤務を原則廃止したという事例にも触れながらその弊害について説明がありました。

<分散して働くことの弊害>
・組織の柔軟性低下(誰が何を知っているのかわからない)
・組織の創造性低下(アイディアを思いついた時に意見交換やトライアルができない)
・社員の帰属意識低下(企業理念の浸透低下)

このような弊害を最小化することが、新たなオフィスづくりのあり方だと言えそうです。これからのセンターオフィスに求められるものは、次のようなことだと若原氏は説明をします。

「人と会う場」+「会社を感じる場」 = 「社員に自然と求心される場」

チームごとに自由な予算が与えられカスタマイズできる部室的オフィスを提供する企業(現状回復などの制約についてビル側の課題が前提としてありますが)や無料の社食や魅力のあるメニューを用意する企業など、社員の「生活環境をサポート」することが求心力を高める要素になるようです。

まとめ

・自社床は小さく持ち、分散型のワークプレイスを構築する
 (自社床は全員分不要、床ポートフォリオという概念)

・分散して働くワーカーを自然に集め交流させ帰属意識を高めるオフィスづくり

サテライト的にオフィスが分散するとオフィス同士を繋ぐコミュニケーションツールもそこには必要になってくるものと考えます。私たち映像システムも「これからのオフィス」を念頭により自然にコミュニケーションを実現する為の映像音響設備や、より有意義なコラボレーションを可能にするソリューションを提案・構築していく必要があるでしょう。

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