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コラム:書画カメラは教室のICT設備として必要か?

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コラム:書画カメラは教室のICT設備として必要か?

弊社でも教室AVシステムの提案をする際には、採用されることが多い「書画カメラ」。しかしながら、PC中心の講義や授業が増える中、書画カメラを使う場面がないのであれば、導入する必要はないのではないかと悩まれている設備ご担当者も多いかもしれません。今回は、書画カメラの役割等について、改めて考えてみたいと思います。

書画カメラとは

書画カメラは、実物投影機、資料提示装置、ドキュメントカメラ、OHC(Overhead camera)、ビジュアライザーなど様々な名前で呼ばれることがあります。ちなみに弊社の社員同士の会話では、「書画」と短い言葉で呼ぶことが多いです。
天井に取り付けるような特殊な製品もありますが、基本的にはテーブルトップ型で折りたたみ式のカメラアームと照明の付いた製品が主流です。プロジェクターが少しずつ普及してきた頃に、OHP(Overhead projector)の代替品として使われるようになりました。

OHP

出典元:Wikimedia Commons
OHPは、最近ほとんど目にすることがなくなりました

OHPとは違い、カメラで撮影した映像をプロジェクター等に拡大表示する為、手元にあるプリント用紙や書籍、模型などを撮影して表示することができます。現在においては、OHPの代替品というより、リアルタイムに書類や物体を提示する為の機材という理解の方がよいでしょう。

書画カメラの種類や機能

書画カメラは、一般的なビデオカメラと違い机上面に置いた書類などを撮影できるようにアーム式の形状を持ち、その先端にカメラが取り付けられています。また、被写体を明るく撮影できるように照明が付いています。天井取付型を除けば土台となる大きなプレート部分がある「テーブルトップ型」とプレート部分を持たずコンパクトに折りたたみ可能な「ポータブル型」の大きく2つに分けることができます。

テーブルトップ型 書画カメラ

テーブルトップ型の例

ポータブル型 書画カメラ

ポータブル型の例

テーブルトップ型の特徴

・プレート(土台)部分が大きく設置が安定する
・その反面、設置スペースを広く取ってしまう
・プレートを目安にすることで撮影範囲を掴みやすい
・プレビューモニタが付いている機種が多く使用感が良い
・照明が比較的大きく満遍なく照らしやすい

ポータブル型の特徴

・土台部分が小さい為、設置スペースを広く取らない
・その反面、設置が不安定、撮影範囲も掴みにくい
・折り畳むと小さくなり持ち運びや収納が容易

その他、機種により対応していないものもありますが、共通して次のような機能を持つ製品が多いです。

・デジタル高画質 …フルHD~4Kまで高精細な映像を表示
・録画 …SDカード等に動画や静止画を保存
・PC接続 …USB等で接続しPCに画像を取り込む
・顕微鏡撮影 …オプションのアタッチメントで顕微鏡を撮影

※参考:主要メーカー Webサイト(一部、製品ページ)
WolfVIsion(ヴォルフビジョン) https://wolfvision.com/
ELMO(エルモ社) https://www.elmo.co.jp/
EPSON(エプソン) https://www.epson.jp/products/bizprojector/ohc/
AVer (アバー・インフォメーション) http://jp.presentation.aver.com/lines/visualizers-and-tabcam

書画カメラは必要か?

OHPシートがいつの間にかPowerPointのスライドショーに変わってきたように、PCやデジタル教材の普及に伴い、書画カメラの必需性は低くなってきているように感じます。しかしながら、書画カメラは即座に手元にある物体をプロジェクター等へ拡大投影し共有することが可能という特徴を持ちます。例えば、ノートなどに書き込みを行い提示することで、板書代わりに使用することができます。デジタルで用意していない書籍やプリントを提示することも、小さな模型であれば様々な角度で見せることもできます。スマートフォンのカメラを利用すれば同じようなことができる、そういう考えもありますが、誰でも簡単に操作性よくできるかという点では、少々難があります。

ある大学での設備利用率の調査を見ると、PCの利用が5~6割に対し、書画カメラの利用者も3割以上いたそうです。大学では学部・学科で様々な講義のスタイルがあり、教室の設備を使う人も様々です。書画カメラは、設備利用における多様性、自由度を上げるという部分においてメリットがあり、基本的には教室に必要なツールだと考えます。

小中学校ではプロジェクターなどの整備と合わせて導入される機会が増えており、ICTツールのひとつとして活用されているようです。日本教育情報化振興会の概説によると、平成 30年3月1 日現在、小中学校の書画カメラの整備状況は約22.9万台(前年度より約1.4万台増)となっており、1 校当たり約 6.8 台という状況です。文部科学省が公表している「教育のICT化に向けた環境整備5か年計画(2018~2022年度)」の中で大型提示装置・実物投影機の整備目標は100%とされており、今後も更に導入数は増えていく見込みです。

おわりに

大学の教室設備では、PCやモバイル機器だけ使えればよい、そういった方針もスマートですし必ずしも書画カメラを整備すべきとは考えません。予算や設置スペース等の課題があるようであれば、ポータブル型のものを数台貸し出せるようにしておくという方法でもよいかもしれません。それでもやっぱり、使う側の視点で考えると、パッと資料を出してプロジェクターに表示する、そういった環境がどこに行ってもあると一番嬉しいですね。

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